あなたのいない
雨上がり
虹は架からない
人は雨が嫌いというけれど
私は雨が好きだった
だって、あなたにくっつけるから
みんなが雨が上がることを望む中
私だけは彼の傘の中で雨がやまないことを望んでいた
でも、あなたは雨上がりが好きと言って
どうしてと聞いた私に言ったね
「雨上がりは虹が見えるから」
私がどうして雨が好きなのかを見透かした顔で
そう言うんだ
「悪いことのあとには、必ず良いことがあるんだよ」
そう笑う彼が好きだったから
雨上がりでもいいかな、なんて
彼が隣にいるのなら、それでも構わないと思って
でも、ねぇ、神様
じゃあ、どうして彼は今も苦しんでいるの
病を患い、苦しみ、それでも王者として復活して
なのにどうして負けてしまったの
「精市、」
悪いことのあとには必ず良いことがあるなんて、
やっぱり嘘だよ
だって、こんなにも今、晴れているのに
あなたは今、どん底にいる
私の隣に、彼はいない